小説/ゆるいかんじ。
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*‥*‥*
「何か、俺に隠してない?」
その言葉に少し焦った。
「どうして?」
そう言うと、大祐は急に近づいてきた。
「さっき、京ちゃんと何話してたの?俺に内緒なの?」
「え……」
大祐はすでに、話を聞いたのだろうか。
だとしたら、もう正直に話した方が
キーン コーン カーン コーン
「あっ、やば!先生来る!」
大祐は鐘を聞くと、慌ててロッカーに行った。
俺は、席に向かう。
「おら-、席つけ」
なんとも気の抜ける声が教室に響き渡った。
だるい声が号令をかける。
俺は、ちらりと大祐の方を見た。
べつに、普通だ。
もしかして、わかってないのかもしれない。
いや、それならどうしてさっき聞いてきたのか、ということになる。
なんだか、考えれば考えるほどわからなくなってきた。
窓の外を見た。
薄い青に雲がぽつりぽつりと浮かんでいる。
そういえば、今まで同じ形の雲を見たことがない。
だから、空を見るのは飽きないのかもしれない。
あ、なんか眠くなって…
「…き……楠木-」
ふと、重くなりかけた瞼で前を見ると楠木さんが沈没していた。
完全に熟睡している。
春だし眠くなるのもしょうがない、てとこか。
「おい、起こしてやれ」
そう言って、先生が俺を指差した。
大祐がこっちを見ていた。
タイミングが悪い。
だが、起こさない訳にはいかない。
俺は少し腕を伸ばして、彼女の椅子をトントンと叩いた。
が、起きない。
もう一度叩いた。
それでも、起きない。
「……」
だんだん、クラスの視線が集まり始めた。
俺は背中をペンでつついた。
すると、ビクッと反応して身体が起き上がった。
「よ-し。おはよう、楠木」
「……」
「朝から寝るとは、昨日にでも眠れないことでもあったのか-?」
先生は冗談を言いながら笑った。
すると、彼女は必死に否定した。
ぶんぶんと首を横に振る。
「そ、そんなことっ!何にもないですっ!」
「慌てすぎだぞ-?さてはなんかあったな?」
「ないですよっ!」
「そうか-?怪しいよなあ?」
先生と目が合った。
今のは俺に言ったのか?
「反応しろよ-。お前目あったじゃん」
俺か。
「お前、なんだと思う?こいつの昨日あった出来事」
「……さあ?」
「つまんねぇなあ、お前。なんかてきとう言えよ。例えばさ『俺のことでも考えてたんじゃないですか?』とかよ」
先生は笑い始めた。
しかし俺はシャレにならないだけに、頬はピクリとも動かない。
ちらりと京也を見ると、京也も沈没していた。
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