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小説/ゆるいかんじ。
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*‥*‥*


午前七時三十八分。
ホームに電車がやってきた。
今日もまた、ほとんど人はいない。

ぶわっと強い風が吹き上がった。
目を細めてそれが止まるのを待つ。
奇妙なブレーキ音の後に、ガコンと電車の扉があいた。

昨日と変わることなく、そこには大祐がいた。
今朝の朝食に飲んだコーヒーのせいか、少し苦い味が舌に残っている。


「ん?はる、どうしたの?」
「え?」
「なんか、嫌な顔してた」


苦味が顔に表れてしまったようだ。
歯磨きした後に、なんで飲んだんだろう。


「コーヒーが残ってて、苦い……」
「なんだ、そっっか。」


大祐は頷くとまたいつものように話し始めた。
昨日はバイトだったようで、数々の失敗談を得意気に語っている。
俺はまたいつものように、走る景色を眺めていた。




「お、大祐と遥じゃん」


同じクラスの京也が電車に乗ってきた。
こいつは、イケメン爽やかの軽い男だが、面白くて癖もなく絡みやすい。


「おはよ-」
「はよ」


珍しく同じ電車に知り合いが乗ってきたのが珍しいのか、大祐は嬉しそうに京也に話しかけた。


「京ちゃんさ、いつもこの時間じゃないよね?」
「うん、まあね。なんか早く来ちゃった」


そう言って京也は俺らの向かい側に座った。
なんだか新鮮な感じだ。


「それよりさ-、遥」
「ん?」
「お前、いつの間にあの子と仲良くなったんだよ」
「……」


こいつ、今言うか。
京也はにやにやしながら俺を見ている。


「えっ、何?何!?」


大祐が身を乗り出してきた。
目がきらきらしている。
すごく、知りたそうだ。
あまりよくないかもしれない。


「昨日な、帰りにこいつが女連れててさ」
「えぇっ!?まじかよ!」
「な、遥?」
「え…」
「しらばっくれてんじゃねぇよ!俺見たんだからな?」


たぶん、この話は今しない方がいい気がする。
京也の軽いノリで話すものではない。


「ちゃんと報告しろよ-」


大祐は口をとがらせて俺を叩いた。


「てゆか京ちゃん誰だよ?」
「相手の子?」
「そうそう!誰だった?」
「え-っと……」


京也は俺の方をチラリと見た。
そしてため息をついて言った。



「ん-忘れた」






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春の彩
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君はいつまでも空高く
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