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小説/ゆるいかんじ。
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*‥*‥*



「なぁなぁ、はるー」


放課後。
後ろからうるさいやつがついてきていた。


「何」


そっけなく答えると、そいつは俺の腕をぐいぐい引っ張った。
痛い。


「お前さ、お前さ、お前さ!楠木さんと仲良しなの?どうなんだよ!そこんとこはっきり頼むよ!」


クスノキさん……?
誰だろうか。
まったく思いあたらない。
だいたい、女子の名前なんて覚えているのは極わずかだ。


「……誰?」


そう尋ねると大祐は俺の両肩をがっしりとつかんでがくがく揺らした。
痛い。


「おまっっっ!!4限の前に話してたじゃん!はるの前の席の超可愛いい方です!」
「あ-…あの子、楠木っていうのか。」


可愛いか可愛くないかと聞かれれば間違いなく可愛い方。
けれども、そこまで執着するほどの人なのだろうか。


「好きなの?」


あまりに力強く握られていた肩から手を振り払って大祐を見ると、みるみるうちに顔が赤くなっていった。
面白い。


「ち、ちが!……くない…」


大祐は口元を手の甲で抑えて目をそらす。


「………ふっ」
「…な、笑うなよ」


思わず笑ってしまった。
大祐は嘘がつけないやつで、隠し事ができない。

そういえば、いつから好きだったのだろうか。
全然気がつかなかった。
それもそうか。
俺は今日はじめて彼女の名前を知ったのだ。


「話したことある?」


大祐はこくんと頷く。


「メアドは?」


ふるふると首を振った。


「じゃあ聞けば?」


そう言うと大祐は怒った。


「そ、そう簡単に言うなよ!俺は…余裕なんて、ほんとになくて、まともに…顔みれないんだよ…」


最後の方になるにつれ大祐は小声になりながら、恥ずかしい事を言った。
聞いているこっちが、恥ずかしい。


「ま、頑張ってみれば」


大祐を見るのは面白いが、面倒事に巻き込まれるのはごめんなので、俺はさっさとその場を退散した。





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春の彩
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君はいつまでも空高く
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