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小説/ゆるいかんじ。
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*‥*‥*


人がたくさんいる。
さっきとは違う世界にいるのではないかと疑ってしまうくらい賑やかだ。

ここは時の進みが早い場所。
決まり通りにそって鳴るチャイムは、少しだけ緊張感を与える。
俺はそれに慣れなくて、毎回飽きる事なく落ち着かなくなるのだった。
最初は慣れようとしてはいたが、今では慣れる必要もない気がしてきている。


「ねぇ、遥くん」


誰かに話しかけられた。
ぼんやりしていた頭を切り換えようと、まばたきを数回繰り返す。
視界がはっきりすると、前の席の子がこちらを向いていることに気づいた。


「何?」
「宿題やった?」

「…あったっけ。」


宿題なんて忘れていた。
昨日は確か授業がいつもよりも進みが早かったせいで、授業中に宿題が終わらなかった。
俺は普段から全て授業中に終わらせているので、そんなものがあったことなんてすっかり忘れていた。


「なんだ、遥くんもやってないの?」


大きな目をさらに大きくして彼女は言った。
俺はそれに対して黙って頷く。


「じゃあ、大丈夫かなあ…」


彼女的には俺がやっていなかったことがよかったらしい。
仲間になるからだろうか。
それなら俺は、その仲間になっていた方がいい気がする。


「遥くん!」


前を向き直したはずの彼女の顔は、もう一度俺を見ていた。


「?」
「今日、私たちの列に先生当てる日じゃない?やった方がいいよね!?」

「あ-そうだね」


彼女は、慌てて教科書とノートを開いた。
俺もやっておこう。
面倒事はごめんだ。

引き出しの中から必要な物を取り出して解きはじめた。
掲示板にかかっている時計をチラリと見ると、あと3分で授業が始まるとわかる。

カップラーメンが作れるな…。

そんなしょうもない事を考えながら宿題にとりかかっていると、ガラッと勢いよく教室の扉が開かれた。
先生が入ってきたようだ。
みんなこそこそと席につきはじめる音がする。
そして、誰かが言った。


「きりーつ、きょーつけ、れー」


気だるい声が号令をかけ終えたと同時に鐘が鳴った。




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春の彩
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君はいつまでも空高く
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