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  <subtitle type="html">小説/ゆるいかんじ。</subtitle>
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  <updated>2009-05-10T11:16:36+09:00</updated>
  <author><name>優</name></author>
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    <published>2010-07-25T08:03:51+09:00</published> 
    <updated>2010-07-25T08:03:51+09:00</updated> 
    <category term="君はいつまでも空高く" label="君はいつまでも空高く" />
    <title>君はいつまでも空高く ２</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
今朝、携帯に知らない番号から着信があった。 <br />
僕は心当たりがなく知らんふりをしていたのだが、会社の電話を受けた時に思い出した。 <br />
そして、心当たりは十分にあったはずだったのにと今朝の自分に呆れてしまった。 <br />
どうして僕は忘れてしまっていたんだろうか。 <br />
数日前に会った女の子を。 <br />
<br />
<br />
<br />
*‥*‥* <br />
<br />
<br />
『あの、私&hellip;佐倉羽海(うみ)と申しますが、二宮さんはいらっしゃいますか？』 <br />
<br />
僕は自分の名前に内心ドキリとしながら、平静を装って電話の対応をした。 <br />
<br />
「こちら二宮です。」 <br />
『あ、先日バスでお会いして、名刺をいただいたのでお電話させていただきしました。』 <br />
<br />
電話を取った時は指名だなんて嫌な話だろうかと少し不安に思っていたが、それは必要なかった。 <br />
<br />
「あ－、佐倉さんっていうんだ。先日はどうも。 <br />
どう？荷物とかは、落ち着いた？」 <br />
『はい。仕事もできるように部屋を整理しました！今日は一日中あいているので、いつでもいらして下さい。』 <br />
<br />
電話を通して、彼女の明るい声が響く。 <br />
つい先日あった子だというのになぜか懐かしかった。 <br />
<br />
「そっか。住所はどの辺？」 <br />
『えーっと&hellip;なんかよくわからないんでFAX送ります。』 <br />
「え？&hellip;&hellip;あ、うん。じゃあ、行く時間決めたらこっちから連絡するよ。」 <br />
『はい、待ってます！』 <br />
<br />
住所がよくわかんないって、大丈夫なんだろうか。 <br />
そんなことを考えながら受話器を置いた。 <br />
すると、先ほどやっていた仕事に戻って間もなく連絡がやって来た。 <br />
<br />
<br />
「二宮さーん。」 <br />
<br />
同期の子がFAXをひらひらとさせてにやにや笑っている。 <br />
こういう時は決まってその子は意地悪を言う。 <br />
<br />
「莉子さん、それ僕宛て&hellip;だよね？」 <br />
<br />
僕はそれを受け取ろうとデスクから立ち上がった。 <br />
すると、彼女はにやにやとしながら僕から遠ざかる。 <br />
そして、僕に背中を向けてFAXに顔を近づける。 <br />
またか、と思いながらも彼女の台詞を待った。 <br />
<br />
「なになに？ <br />
二宮さんへ。住所に丸つけときました。わかんなかったら連絡して下さいね。にゃ－ん。 <br />
って何コレ？」 <br />
<br />
彼女は白い目で僕を見ながらその紙を押しつけてきた。 <br />
<br />
「り、莉子さん？最後の、にゃーんって&hellip;&hellip;？」 <br />
<br />
僕は少しだけしわのついてしまったFAXを見ると、可愛らしい猫の絵に気づいた。 <br />
なるほど。これを読んだのか。 <br />
<br />
「なんでにゃーんって読んだの？」 <br />
「二宮さ－ん。住所って、なんか怪しくないですかー？この子のお家でも行くんですか？」 <br />
<br />
僕の発言を妨げるように、彼女は言い放つ。少しぶっきらぼうに。 <br />
彼女は別に悪い人ではない。 <br />
それをよくわかっているから、僕はいつも彼女を責めたりはしない。 <br />
<br />
「怪しくないよ。今日は作品を見せてもらうんだ。」 <br />
「ふーん。」 <br />
「FAXありがとう。莉子さん、持ち場に戻っていいよ？」 <br />
「言われなくてもわかってるわよっ」 <br />
<br />
彼女はツンと顔を背けてデスクに戻った。 <br />
僕も自分の持ち場に戻る。 <br />
送られてきた住所からいって、ここから車で一時間もかからないだろう。 <br />
僕は今やっている仕事をなるべく早く終わらせて、そこに向かうことにした。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/10</id>
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    <published>2010-07-22T16:59:20+09:00</published> 
    <updated>2010-07-22T16:59:20+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ９</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥*<br />
<br />
<br />
俺は食べ終わると、言われた通り中庭に行った。<br />
京也は木陰のベンチにさっきの子と一緒に座って話している。<br />
なんとなく、行きづらい。<br />
<br />
<br />
「あ、遥来た。じゃーね、瑠衣ちゃん」<br />
「うん。バイバーイ」<br />
<br />
<br />
彼女は京也に手を振りどこかに去ってしまった。<br />
邪魔した気がする。<br />
俺は、京也に近づくのになんとなく引け目を感じた。<br />
<br />
<br />
「遥、早くこっち来いよ」<br />
<br />
<br />
京也が手招きをした。<br />
笑っている。<br />
なんとなく安心して、俺は京也の座っているベンチに近い木にもたれかかった。<br />
風がサァッと吹く。<br />
今日はいつもより雲の流れが早いように見えた。<br />
地面に広がるシロツメクサがゆらゆらしている。<br />
<br />
<br />
「なぁ、遥」<br />
「ん？」<br />
「今日の帰りとかに、大祐と２人で帰れば？」<br />
<br />
<br />
京也が柔らかく笑った。<br />
たぶんこの件については素直に話た方がよさそうだと、俺も思っていたところだった。<br />
<br />
<br />
「そうする」<br />
<br />
<br />
今日はお互い用事もないし、ゆっくり話せる。<br />
大祐なら、ちゃんと話を聞いてくれるだろう。<br />
<br />
<br />
「そうと決まれば後はお前らの問題だな。」<br />
<br />
<br />
京也は立ち上がって伸びをした。<br />
木陰から京也の肘あたりがはみ出す。<br />
正午の光は少し眩しい。<br />
<br />
<br />
「ん－…。そうだ。瑠衣ちゃんて俺の妹だから」<br />
「そうなんだ。」<br />
「可愛いからって手出すなよ？」<br />
<br />
<br />
京也はにやりと笑ったが、目が笑っていない。<br />
本当に大切なんだろうと思った。<br />
<br />
<br />
「いや。俺、あの子とは話すテンポが…」<br />
「ま、確かにな！」<br />
<br />
<br />
京也が笑った。<br />
日差しのせいか、眩しく見える。<br />
<br />
<br />
「でも、会った時には挨拶くらいしてやって」<br />
<br />
<br />
そう言った京也は、どこか寂しそうに見えた。<br />
俺が何も言わずに頷くと、京也はまた柔らかく微笑んだ。<br />
これはきっと、こいつの作り笑いだ。<br />
でも、どうして。<br />
<br />
そう思っても俺は聞かない。<br />
聞いて欲しくなくても、気づいていてくれるだけでもいいときもある。<br />
だから、聞かない。<br />
<br />
<br />
「いい天気だよなあ。」<br />
「ほんと」<br />
<br />
<br />
俺らはチャイムが鳴るまで、そこで春の風の中にいた。<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
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    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/9</id>
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    <published>2010-07-20T13:11:25+09:00</published> 
    <updated>2010-07-20T13:11:25+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩　～side story .　光 ～</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
よくいえば、自然豊かな町。<br />
俺的にはただの田舎。<br />
&nbsp;<br />
こんな場所で君に会えるなんて思いもしなかった<br />
&nbsp;<br />
<br />
*‥*‥* <br />
<br />
<br />
「ねぇ、暇！」<br />
「え&hellip;」 <br />
<br />
<br />
朝のラッシュの時間。<br />
だが、電車にほとんど人がいない。<br />
ここは「ど」のつくほどの田舎だからだ。<br />
<br />
この電車のある車両に二人の男子高校生が座っていた。<br />
扉近くには、身長は１６０後半といったところだろうか。<br />
少し小柄で、目が大きくて、髪がふわふわとパーマがかっている大祐がいる。<br />
その隣には、大祐とはまるで正反対な遥。<br />
身長は１８０以上。<br />
目は大きくてつり目気味だが、どこか抜けているようなナチュラルボーイだ。<br />
&nbsp;<br />
<br />
「はるか－、お前も話せよ－」<br />
「え&hellip;？お前が話しすぎなんじゃ？」<br />
「ほら、はい！話して？さんはい！」<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
「黙るなよ－！」<br />
&nbsp;<br />
<br />
遥は小さくため息をついた。<br />
大祐は朝から晩まで元気だが、遥は朝に少し弱い。<br />
だからと言って、朝から大祐と一緒にいることが嫌というわけではないので不思議なところだ。<br />
&nbsp;<br />
<br />
「も－仕方ないな－」<br />
「え&hellip;」<br />
「俺が話しちゃる!!」<br />
「&hellip;やっぱり」 <br />
<br />
「くすくす」 <br />
<br />
<br />
いつからいたのか、大祐と遥と同じ車両に彼らと同じ制服を着た女の子が向かいの端の席に座っていた。<br />
大祐と遥が彼女の方を見ると、あわてて口元を押さえる。 <br />
<br />
<br />
「ご、ごめんなさい&hellip;」<br />
「あ、いえ。」<br />
&nbsp;<br />
<br />
遥がそう言うと、女の子はにっこり笑った。<br />
&nbsp;<br />
<br />
「二人とも、仲良しなんですね」<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
&nbsp;<br />
<br />
いつもならおしゃべりな大祐が何も答えない。<br />
仕方がないので、遥が答えた。<br />
&nbsp;<br />
<br />
「あ、まあ&hellip;幼馴染です」<br />
「へえ。なんかぱっと見似てないのに、雰囲気がなんとなく似てる気がする」<br />
「そうですか？&hellip;って大祐、なんか話せよ？」<br />
&nbsp;<br />
<br />
遥が大祐を肘でつついた。<br />
すると、大祐ははっとする。 <br />
<br />
<br />
「お、俺&hellip;波川大祐っていいます！こっち、遥」<br />
「あ、私は楠木さやか」<br />
「よ！よろしく！」<br />
「うん、よろしくね」<br />
&nbsp;<br />
<br />
大祐のたどたどしい自己紹介をきっかけに、その日の朝は３人で学校に行くことになった。<br />
大祐は、少し緊張しているようでやたらテンションが高い。<br />
さやかはふんわりとした雰囲気のある子で、ずっと大祐の話を楽しそうに聞いていた。<br />
そして、遥はというと普段通りなんとなく大祐の話を聞きながらいつもと変わらない周りの景色を楽しんでいた。 <br />
<br />
<br />
<br />
*‥*‥* <br />
<br />
<br />
「なあ、はるか&hellip;」 <br />
<br />
<br />
昼休み。<br />
ご飯を食べ終えて中にはの木陰でのんびりとしていた遥のところに大祐がやってきた。 <br />
<br />
<br />
「ん－？」<br />
「今日の朝の子さ、いい子だったよね」<br />
「ん？&hellip;&hellip;あ－、うん。」 <br />
<br />
<br />
遥にはもう、記憶から薄れていたことらしかった。<br />
けれども、大祐の中にはとても印象に残っているようだ。 <br />
<br />
<br />
「なんかさ、仲良くなりたいんだよね」<br />
「ふ－ん。ま、頑張ってみれば？」 <br />
<br />
<br />
遥はあくびをしながら木によりかかった。<br />
大祐は遥の傍にしゃがむ。<br />
&nbsp;<br />
<br />
「俺さ&hellip;あんなにかわいい子初めて見た。」<br />
「まあ、普通にかわいいとは思うけど」<br />
「え？遥も思った!?」<br />
「え&hellip;いや、一般的にね？」<br />
「そ&hellip;だよね」 <br />
<br />
<br />
大祐は大きくため息をついた。<br />
そして、思う。<br />
高校に入学して何も変わらなかった。<br />
昔と同じように遥が傍にいて。<br />
ただ、のんびりと一日を過ごして。<br />
<br />
けれど、今日の朝の時間だけどこか違う。<br />
<br />
彼女の声と姿とが目にも耳にも焼きついて離れない。<br />
朝の出来事だけが、頭の中でぐるぐる廻る。<br />
嫌じゃない、感覚。<br />
まだ、大祐はこの気持ちの意味をしらない。<br />
気付くのは、もっと先。<br />
次に来る春、彼女との距離が近づいた時。<br />
その芽にきづく。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
こんな場所で君に会えるなんて思いもしなかった<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/8</id>
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    <published>2010-07-20T12:15:00+09:00</published> 
    <updated>2010-07-20T12:15:00+09:00</updated> 
    <category term="君はいつまでも空高く" label="君はいつまでも空高く" />
    <title>君はいつまでも空高く</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<img alt="" src="//0x0usa.blog.shinobi.jp/File/006e3dbf.jpeg" /><br />
<br />
<br />
<br />
季節が傾き、半袖ではうっすら寒くなり始めたある日。 <br />
僕は、バス亭にいた。 <br />
仕事の都合で、都会から少し外れた町に来ていて、今から帰るところだ。 <br />
時刻表を確認したところ、まだバスは来ないらしい。 <br />
僕はスーツの内ポケットから携帯を取り出した。 <br />
メールボックスを見たり、アプリを開いたりしたが、すぐに飽きてしまった。 <br />
<br />
<br />
少しぼんやりとしていたら、ガラガラと荷物を引く音が聞こえてきた。 <br />
辺りを見渡すと、誰かがこちらに向かってきている。 <br />
シルエット的には女の子のようだ。 <br />
大きなスーツケースに、スポーツバッグ。 <br />
これからどこかへ行くのだろうか。 <br />
僕はぼんやりとしたまま、彼女がこちらに来るのを眺めていた。 <br />
彼女が僕の隣で止まる。 <br />
十代後半から二十代前半といったところだろう。 <br />
少しつけすぎた頬の化粧がなんとなく幼さを演出しているように見える。 <br />
<br />
<br />
「あの&hellip;何か？」 <br />
<br />
しまった。見すぎていたようだ。 <br />
僕は謝った。 <br />
<br />
「あ、ごめん。あまりにも荷物がたくさんあるから。」 <br />
<br />
彼女は自分の荷物に視線を落としてから、僕の方を見た。 <br />
<br />
「私、これから上京するんです。」 <br />
「へ－。」 <br />
<br />
彼女は僕をじっと見ている。 <br />
なんとなく気まずいので、僕は話題を作った。 <br />
<br />
「今、いくつ？」 <br />
「２０歳です。」<br />
「お、若いね。」<br />
「え？じゃあ、あなたは？」 <br />
「僕は２８だよ」 <br />
「え？もっと若く見えますね。」 <br />
「そう？」 <br />
「はい。」 <br />
<br />
会話が途切れてしまった。 <br />
しかし、彼女から続きの言葉は出てこない。 <br />
時計をちらりと見ると、あと５分くらい時間がある。 <br />
少し話してしまった後の５分はなんとなくそわそわするものだ。 <br />
僕は思い切って、もう一度話しかける。 <br />
<br />
「君は仕事をしに上京するの？」 <br />
<br />
彼女は僕の方を見上げた。 <br />
そしてにこりと笑う。 <br />
<br />
「そうですよ。」 <br />
「そっか。」 <br />
「今まで地元にいたんですけど、これからは都会で頑張るんです。」 <br />
<br />
まだ僕より若いせいだろうか。<br />
それとも、夢を持っているからだろうか。<br />
輝きのある笑顔だった。 <br />
<br />
「いいね、若いって。」 <br />
「何言ってるんです。十分若いじゃないですか。」 <br />
「いやいや。僕はもう若くないよ。」 <br />
<br />
彼女は首を傾げた。 <br />
僕は微笑む。 <br />
まだ若い彼女にはわからないだろう。 <br />
僕のように、見た目よりも早く気持ちが年をとる感覚を。 <br />
<br />
「あ、バス来ますよ。」 <br />
「ほんとうだ。」 <br />
<br />
<br />
<br />
バスが止まる。 <br />
僕は彼女のスーツケースを持ってバスに乗りこんだ。 <br />
<br />
「あっ、いいですよ！」 <br />
<br />
少し重いが、苦になる重さでもなかった。<br />
僕は 立ちすくむ彼女に手招きをした。<br />
<br />
「大丈夫だよ。ほら、君も早く乗りな？」 <br />
「すいません、ありがとうございました。」 <br />
<br />
彼女はそう言って、僕に続いてバスに乗り込んだ。 <br />
車内には、僕らしかいない。 <br />
<br />
「せっかくですし、まだお話しませんか？」 <br />
「そうだね。」 <br />
<br />
僕らはお互いに近い席に座った。 <br />
<br />
「あの&hellip;お仕事は何をされてるんですか？」 <br />
「ん－&hellip;&hellip;説明するの難しいなあ」 <br />
「サービス業ですよね？」 <br />
<br />
彼女はスーツを見ながら首を傾げる。 <br />
サラリーマンとかを連想していたのだろうか。 <br />
僕は少し考えてから答えた。 <br />
<br />
「まあ、簡単に言えばそんなかんじ。」<br />
「へえ。」<br />
「でも、もう少し言うと芸術関係。」 <br />
「芸術？素敵！」 <br />
「ありがとう。とは言っても、僕が何かを作るわけじゃないんだ」 <br />
「どういうことですか？」 <br />
「僕は芸術家をサポート&hellip;&hellip;って言えばかっこいいかな？」 <br />
「へ－。面白そうなお仕事！」 <br />
<br />
彼女は楽しそうに話を聞いてくれている。 <br />
なんだか、くすぐったい気持ちになった。 <br />
大人になった僕の周りにはこんな反応はない。 <br />
すごく新鮮だ。 <br />
<br />
「じゃあ、僕も聞いていいかな？」 <br />
「はい。どうぞ！」 <br />
「上京して、どんなお仕事するの？」 <br />
<br />
彼女は少し恥ずかしそうにした。 <br />
何を言い出すつもりなのか。 <br />
<br />
「えっと&hellip;&hellip;実は私、大学に通いながらいろんな仕事やってて。」 <br />
「すごいね。例えば？」 <br />
「イラスト描いたり、ネイルアートやったり&hellip;&hellip;細かい作業得意なんです。」<br />
&nbsp;<br />
細かい作業と聞いて、僕は身を乗り出した。<br />
<br />
「へ－！それは僕の仕事柄気になるな。」 <br />
「そんな&hellip;プロとかじゃないですから。」 <br />
「いやでも、それで仕事ができるって立派だと思うよ？」 <br />
「そ、そうですか？」 <br />
<br />
彼女はかなり照れているようで、頬に手を当てた。<br />
幼くて、可愛らしいしぐさだ。<br />
僕は彼女の荷物を指して言った。<br />
<br />
「作品とかないの？」 <br />
「えっと&hellip;&hellip;中にはありますけど&hellip;今は出せないです。」 <br />
「そりゃそうか！」 <br />
<br />
僕は当たり前の答えに笑った。 <br />
そして、名刺を差し出す。 <br />
<br />
「はい、これ。」 <br />
「え？名刺&hellip;&hellip;ですか？」 <br />
「そう。気が向いたら連絡してよ。作品見に行くから。」 <br />
「えっ！いいんですか？」<br />
&nbsp;<br />
ぱぁっと彼女の顔が輝いた。<br />
この子は表情が豊かだ。<br />
ころころと顔が変わる。<br />
<br />
「もちろん。あ、よかったらでいいんだよ？」 <br />
「あ、はい。ありがとうございます！」 <br />
<br />
彼女は僕の名刺を大切そうにしまってくれた。<br />
財布のポケットに入れると、彼女から満面の笑みがこぼれた。<br />
<br />
「絶対、連絡します。」<br />
<br />
僕は少し照れてしまった。<br />
あまりにも純粋な人に、僕は免疫がないようだ。<br />
<br />
<br />
そして、これが僕の運命を変える出会いになるなんてこのときは、思いもしなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
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    <published>2010-07-19T19:53:21+09:00</published> 
    <updated>2010-07-19T19:53:21+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ８</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥*<br />
<br />
<br />
昼休みになると、京也は食堂に向かう。<br />
俺も今日はついて行った。<br />
<br />
<br />
「…なんか、キモくね？」<br />
「何が？」<br />
「俺とお前が２人で食堂って…しかもお前弁当だし！」<br />
<br />
<br />
京也は俺の前に広がる弁当を嫌そうに指した。<br />
何が嫌なのかわからない。<br />
<br />
<br />
「よくわかんない」<br />
「いや、よくわかんねぇのはこの状況だろ!?」<br />
「そんなことよりさ－」<br />
「しかとかよ。」<br />
「さっき…」<br />
「てかお前さ、俺の前にちゃっかりいるけど、何で？」<br />
「……」<br />
<br />
<br />
今日の京也はやたら突っ込んでくるので、なかなか本題に入れなかった。<br />
しかも、少しそわそわしていてあまり話を真面目に聞いてくれそうな雰囲気でもない。<br />
<br />
<br />
「うぜ－って顔すんな」<br />
<br />
「……あのさ、もしかしたら大祐わかってるかも」<br />
「え、何が？って、あ－…まじで？」<br />
<br />
<br />
京也がやっとこっちを見た。<br />
俺は話を続ける。<br />
<br />
<br />
「うん。だってさっき、『何か俺に隠してない？』って聞いてきた。」<br />
「そっか…」<br />
<br />
<br />
京也は、もぐもぐとカレーを口に含みながら真面目な顔をした。<br />
が、頬が膨らんでいるのであまり真剣に見えない。<br />
<br />
<br />
「てかさ、結局お前はどうしたいわけ？」<br />
<br />
<br />
京也がちらりと俺を見る。<br />
<br />
<br />
「俺？」<br />
「そう。お前が彼女に気があるなら大祐は負けってだけの話になるじゃん」<br />
「いや－……好きとかよくわかんないし」<br />
<br />
<br />
そう言うと、京也は突然むせた。<br />
<br />
<br />
「ゴホッ、ゴホッ」<br />
「大丈夫？」<br />
<br />
<br />
京也は一気に水を飲み干す。<br />
そして、乱暴にコップを置いて顔を寄せてきた。<br />
<br />
<br />
「お前、好きになったことないの？」<br />
「ん－…うん？」<br />
「なんで疑問形なんだよ」<br />
「いや－」<br />
「ま、いいや」<br />
<br />
<br />
そう言って、京也は立ち上がった。<br />
皿は空っぽだ。<br />
俺の弁当はまだ残っている。<br />
<br />
<br />
「行くの？」<br />
「いや、片付けてくる」<br />
<br />
<br />
そう言って、京也は机に財布を置いたまま行った。<br />
<br />
俺はごはんを運びながら考えた。<br />
たぶん、俺は楠木さんに対してそういう感情はないと思う。<br />
今までにそういう気持ちにはなったこともあるから、それとは違うとなんとなくわかる。<br />
だから、次にそういう雰囲気な事があったらどうにかしないといけない。<br />
<br />
<br />
「あれ？京也いなくなっちゃったの－？」<br />
<br />
<br />
突然、聞き慣れない声が背後からした。<br />
見たこともない女の子が首を傾げている。<br />
<br />
<br />
「え……京也は、今片付けに行った」<br />
「ふーん……」<br />
<br />
<br />
そう言って、その子はじろじろと俺を見る。<br />
彼女の長く緩やかなパーマが触れた。<br />
<br />
<br />
「あの……近い」<br />
「え、あ！ごめんね？」<br />
<br />
<br />
彼女はぱっと離れたが、照れた様子も見せなかった。<br />
慣れているのだと思った。<br />
<br />
<br />
「君、かっこいいね！モテるでしょ？ま、あたしの好みじゃないけどっ！<br />
あ、もしかして彼女いるの？ん－でもいなさそう！なんか、固いよ？空気。<br />
でもでも！それがいいのかもっ！あ、京也だ！きょ－や－っ！」<br />
<br />
<br />
俺の頭がついていけないスピードで彼女は言った。<br />
これが本物のマシンガントークだ、と初めて理解した。<br />
<br />
<br />
「お－、まゆ」<br />
「京也っ！」<br />
<br />
<br />
その子は京也に飛びついた。<br />
京也は少し嬉しそうにその子の頭を撫でる。<br />
なんとなく、犬とそれを可愛がる人の図に見えた。<br />
<br />
<br />
「あ、遥。早く食え！食い終わったら中庭な！」<br />
<br />
<br />
そう言って、京也はその子を連れて食堂を出て行った。<br />
なんだか、嵐が去った後のような気分だ。<br />
<br />
そういえば、あの子は京也の彼女なのだろうか？<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/6</id>
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    <published>2010-07-18T10:37:00+09:00</published> 
    <updated>2010-07-18T10:37:00+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ７</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥*<br />
<br />
<br />
「何か、俺に隠してない？」<br />
<br />
<br />
その言葉に少し焦った。<br />
<br />
<br />
「どうして？」<br />
<br />
<br />
そう言うと、大祐は急に近づいてきた。<br />
<br />
<br />
「さっき、京ちゃんと何話してたの？俺に内緒なの？」<br />
「え……」<br />
<br />
<br />
大祐はすでに、話を聞いたのだろうか。<br />
だとしたら、もう正直に話した方が<br />
<br />
<br />
キーン コーン カーン コーン<br />
<br />
<br />
「あっ、やば！先生来る！」<br />
<br />
<br />
大祐は鐘を聞くと、慌ててロッカーに行った。<br />
俺は、席に向かう。<br />
<br />
<br />
「おら－、席つけ」<br />
<br />
<br />
なんとも気の抜ける声が教室に響き渡った。<br />
だるい声が号令をかける。<br />
俺は、ちらりと大祐の方を見た。<br />
べつに、普通だ。<br />
もしかして、わかってないのかもしれない。<br />
いや、それならどうしてさっき聞いてきたのか、ということになる。<br />
なんだか、考えれば考えるほどわからなくなってきた。<br />
<br />
窓の外を見た。<br />
薄い青に雲がぽつりぽつりと浮かんでいる。<br />
そういえば、今まで同じ形の雲を見たことがない。<br />
だから、空を見るのは飽きないのかもしれない。<br />
あ、なんか眠くなって…<br />
<br />
<br />
「…き……楠木－」<br />
<br />
<br />
ふと、重くなりかけた瞼で前を見ると楠木さんが沈没していた。<br />
完全に熟睡している。<br />
春だし眠くなるのもしょうがない、てとこか。<br />
<br />
<br />
「おい、起こしてやれ」<br />
<br />
<br />
そう言って、先生が俺を指差した。<br />
大祐がこっちを見ていた。<br />
タイミングが悪い。<br />
だが、起こさない訳にはいかない。<br />
<br />
俺は少し腕を伸ばして、彼女の椅子をトントンと叩いた。<br />
が、起きない。<br />
<br />
もう一度叩いた。<br />
それでも、起きない。<br />
<br />
<br />
「……」<br />
<br />
<br />
だんだん、クラスの視線が集まり始めた。<br />
俺は背中をペンでつついた。<br />
すると、ビクッと反応して身体が起き上がった。<br />
<br />
<br />
「よ－し。おはよう、楠木」<br />
「……」<br />
「朝から寝るとは、昨日にでも眠れないことでもあったのか－？」<br />
<br />
<br />
先生は冗談を言いながら笑った。<br />
すると、彼女は必死に否定した。<br />
ぶんぶんと首を横に振る。<br />
<br />
<br />
「そ、そんなことっ！何にもないですっ！」<br />
「慌てすぎだぞ－？さてはなんかあったな？」<br />
「ないですよっ！」<br />
「そうか－？怪しいよなあ？」<br />
<br />
先生と目が合った。<br />
今のは俺に言ったのか？<br />
<br />
<br />
「反応しろよ－。お前目あったじゃん」<br />
<br />
<br />
俺か。<br />
<br />
<br />
「お前、なんだと思う？こいつの昨日あった出来事」<br />
「……さあ？」<br />
「つまんねぇなあ、お前。なんかてきとう言えよ。例えばさ『俺のことでも考えてたんじゃないですか？』とかよ」<br />
<br />
<br />
先生は笑い始めた。<br />
しかし俺はシャレにならないだけに、頬はピクリとも動かない。<br />
<br />
ちらりと京也を見ると、京也も沈没していた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/5</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://0x0usa.blog.shinobi.jp/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%BD%A9/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%BD%A9%20%EF%BC%96" />
    <published>2010-07-17T16:41:54+09:00</published> 
    <updated>2010-07-17T16:41:54+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ６</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥* <br />
<br />
<br />
京也がアホでよかった。 <br />
そう思ってため息をついた。 <br />
やっぱりあの時、断るべきだったのだろうか。 <br />
<br />
でも、理由もなしに？ <br />
<br />
いや、理由ならある。 <br />
だけど、それはこっちの話。 <br />
別に彼女が俺に気があるとは言ってない。 <br />
だから変に気を遣うのは気がひけるのだった。 <br />
<br />
<br />
「おはよっ」 <br />
<br />
<br />
声のする方をみるとクスノキさんが微笑んでいた。 <br />
俺は少しためらう。 <br />
<br />
<br />
「&hellip;はよ」 <br />
「今日は宿題やった？」 <br />
<br />
「あ－&hellip;うん」 <br />
「私もばっちりだよ。あ、そういえばさ」 <br />
「&hellip;&hellip;ちょっと、ごめん」 <br />
<br />
<br />
そう言って俺は席を立った。 <br />
そして、教室の外に向かう。 <br />
すると、京也が近づいてきた。 <br />
<br />
「今の不自然」 <br />
「&hellip;&hellip;」 <br />
<br />
<br />
そんなこと、わかっている。 <br />
だけど、今は話したくない。 <br />
<br />
<br />
「どうするつもり？」 <br />
<br />
<br />
京也は冷たく俺を見ていた。 <br />
聞かれていい話をする雰囲気ではないのは明らかだ。 <br />
俺は京也を連れて、教室から離れているロビーに向かった。 <br />
<br />
<br />
<br />
ロビーの隅に落ち着くと、京也はわざとらしく大きなため息をついた。 <br />
<br />
<br />
「中途半端はどっちにも可哀想だよ」 <br />
「&hellip;&hellip;」 <br />
<br />
<br />
京也はにこりと笑う。 <br />
<br />
<br />
「好きなら別だけど？」 <br />
「&hellip;&hellip;」 <br />
<br />
「ま、俺はとりあえず中途半端なお前に助言くらいはしてやるよ。」 <br />
「&hellip;&hellip;」 <br />
<br />
<br />
俺が何も言わないのが不服なのか少し拗ねた顔をした。 <br />
<br />
<br />
「言っとくけど、お前じゃない二人のために！だからな？」 <br />
<br />
<br />
俺は思わず口元が緩んでしまった。 <br />
こいつなりの優しさが、少し嬉しい。 <br />
<br />
<br />
「な－に笑ってんだよっ」 <br />
「別に」 <br />
<br />
<br />
俺には彼女の気持ちはわからない。 <br />
けれど、大祐の『好き』ならよくわかっている。 <br />
だから出来るなら、変な関わりは持ちたくない。 <br />
<br />
<br />
「なぁ、京也」 <br />
「ん？」 <br />
「なんで、昨日一緒に帰ったんだろう」 <br />
<br />
<br />
そう言うと、京也は一瞬真顔になった後呆れた顔をした。 <br />
<br />
<br />
「何が言いたいのか&hellip;イマイチわかんねぇんだけど&hellip;？」 <br />
<br />
「大祐の気持ちはわかってる。」 <br />
「まぁ、わかりやすいしな」 <br />
<br />
<br />
京也は頷く。 <br />
俺は言葉を続けた。 <br />
<br />
<br />
「けどあの人は何を思ってるのかな、って」 <br />
「は？」 <br />
<br />
<br />
京也は目を丸くした。 <br />
そして、声をかなり抑えて俺の肩を引き寄せた。 <br />
<br />
<br />
「お前、アホじゃねぇの？」 <br />
「なんで」 <br />
「あの子は、お前に気があるから誘ったんだろ!?」 <br />
「&hellip;え&hellip;でも、そんなこと言われ」 <br />
「言うかバカっ!!」 <br />
<br />
<br />
京也は思い切り頭をはたいてきた。 <br />
割と痛い。 <br />
また、小声で京也は言う。 <br />
<br />
<br />
「女子が！勇気を出して！誘ってきて！好きじゃないわけないだろうがっ！」 <br />
「&hellip;そんなの、人それぞれじゃない？」 <br />
「それはねぇよ」 <br />
「&hellip;&hellip;じゃあ、俺&hellip;&hellip;まずくね？」 <br />
「まずいよ？」 <br />
<br />
<br />
俺らは目を合わせた。 <br />
そして苦笑いをしながらどちらともなく教室に戻った。 <br />
彼女はすでに席にいない。 <br />
少しほっとした。 <br />
<br />
<br />
「はる！」 <br />
<br />
<br />
後ろから不意に呼び止められた。<br />
振り返ると大祐が俺に突進しようとしていた。 <br />
俺はそれをひらりとかわす。 <br />
<br />
<br />
「何」 <br />
「&hellip;&hellip;あの」 <br />
<br />
<br />
壁にギリギリのところでぶつかるところだった大祐は、いつもとは違う様子で俺を見た。<br />
少し、眉が歪んでいる。 <br />
<br />
<br />
「&hellip;どうした？」 <br />
<br />
「はるさ&hellip;」 <br />
「うん」 <br />
<br />
「何か、俺に隠してない？」 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/4</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://0x0usa.blog.shinobi.jp/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%BD%A9/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%BD%A9%20%EF%BC%95" />
    <published>2010-07-17T15:06:00+09:00</published> 
    <updated>2010-07-17T15:06:00+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ５</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥*<br />
<br />
<br />
午前七時三十八分。<br />
ホームに電車がやってきた。<br />
今日もまた、ほとんど人はいない。<br />
<br />
ぶわっと強い風が吹き上がった。<br />
目を細めてそれが止まるのを待つ。<br />
奇妙なブレーキ音の後に、ガコンと電車の扉があいた。<br />
<br />
昨日と変わることなく、そこには大祐がいた。<br />
今朝の朝食に飲んだコーヒーのせいか、少し苦い味が舌に残っている。<br />
<br />
<br />
「ん？はる、どうしたの？」<br />
「え？」<br />
「なんか、嫌な顔してた」<br />
<br />
<br />
苦味が顔に表れてしまったようだ。<br />
歯磨きした後に、なんで飲んだんだろう。<br />
<br />
<br />
「コーヒーが残ってて、苦い……」<br />
「なんだ、そっっか。」<br />
<br />
<br />
大祐は頷くとまたいつものように話し始めた。<br />
昨日はバイトだったようで、数々の失敗談を得意気に語っている。<br />
俺はまたいつものように、走る景色を眺めていた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「お、大祐と遥じゃん」<br />
<br />
<br />
同じクラスの京也が電車に乗ってきた。<br />
こいつは、イケメン爽やかの軽い男だが、面白くて癖もなく絡みやすい。<br />
<br />
<br />
「おはよ－」<br />
「はよ」<br />
<br />
<br />
珍しく同じ電車に知り合いが乗ってきたのが珍しいのか、大祐は嬉しそうに京也に話しかけた。<br />
<br />
<br />
「京ちゃんさ、いつもこの時間じゃないよね？」<br />
「うん、まあね。なんか早く来ちゃった」<br />
<br />
<br />
そう言って京也は俺らの向かい側に座った。<br />
なんだか新鮮な感じだ。<br />
<br />
<br />
「それよりさ－、遥」<br />
「ん？」<br />
「お前、いつの間にあの子と仲良くなったんだよ」<br />
「……」<br />
<br />
<br />
こいつ、今言うか。<br />
京也はにやにやしながら俺を見ている。<br />
<br />
<br />
「えっ、何？何!?」<br />
<br />
<br />
大祐が身を乗り出してきた。<br />
目がきらきらしている。<br />
すごく、知りたそうだ。<br />
あまりよくないかもしれない。<br />
<br />
<br />
「昨日な、帰りにこいつが女連れててさ」<br />
「えぇっ!?まじかよ！」<br />
「な、遥？」<br />
「え…」<br />
「しらばっくれてんじゃねぇよ！俺見たんだからな？」<br />
<br />
<br />
たぶん、この話は今しない方がいい気がする。<br />
京也の軽いノリで話すものではない。<br />
<br />
<br />
「ちゃんと報告しろよ－」<br />
<br />
<br />
大祐は口をとがらせて俺を叩いた。<br />
<br />
<br />
「てゆか京ちゃん誰だよ？」<br />
「相手の子？」<br />
「そうそう！誰だった？」<br />
「え－っと……」<br />
<br />
<br />
京也は俺の方をチラリと見た。<br />
そしてため息をついて言った。<br />
<br />
<br />
<br />
「ん－忘れた」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>0x0usa.blog.shinobi.jp://entry/3</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://0x0usa.blog.shinobi.jp/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%BD%A9/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%BD%A9%20%EF%BC%94" />
    <published>2010-07-16T20:21:52+09:00</published> 
    <updated>2010-07-16T20:21:52+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ４</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥*<br />
<br />
<br />
<br />
「あ、あのっ」<br />
<br />
<br />
夕暮れ時。<br />
<br />
下駄箱にオレンジ色の光が長く差し込んでいる。その中に一つ、長い影が入り込んできた。<br />
<br />
<br />
「……遥くん」<br />
<br />
「…何？」<br />
<br />
<br />
夕焼けが穏やかに明るい春の光。<br />
けれども、その中で目の前にある影は深い色をしていた。<br />
<br />
<br />
「一緒に…帰って下さい」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
断る理由も見つからない。<br />
だから、ただ何も言わなかっただけ。<br />
けれど、この子はあのクスノキさんだった。<br />
<br />
<br />
「あの…さ」<br />
<br />
<br />
彼女はうつむきながら言う。<br />
<br />
<br />
「遥くん」<br />
「ん？」<br />
「私………」<br />
<br />
<br />
「やっぱり、いいや」<br />
<br />
<br />
クスノキさんは笑った。<br />
俺は、その先を聞かない。<br />
どうして、今隣を歩いているのか。<br />
それも、聞かない。<br />
ただ、俺は口をつぐんだ彼女が言いたかったことを、言うまで待った方がいい気がしたから。<br />
<br />
<br />
<br />
「ねぇ」<br />
「ん？何でしょう？」<br />
<br />
<br />
彼女は小首を傾げてこっちを向いた。<br />
<br />
<br />
「今日は、部活だったの？」<br />
「うん。あ、はるかくんって私の部活わかるの？」<br />
<br />
<br />
意地悪く笑って、少し上目づかいで俺を見た。<br />
<br />
<br />
「……吹奏楽？」<br />
「ブーっ！違うよ！やっぱ、知らなかった－」<br />
「うん、ごめん」<br />
<br />
「美術部だよ。基本的に私は水彩画」<br />
「へ－。絵が上手いのか」<br />
「少し自信はあるよ。でもね、やっぱり上には上がいるの」<br />
<br />
<br />
そう言っている彼女は嬉しそうだった。<br />
絵が好き、と伝わってくる。<br />
<br />
<br />
<br />
ふと、彼女は呟いた。<br />
<br />
「あのね、美術室からよく見えるんだよ」<br />
「？」<br />
<br />
「弓道部」<br />
<br />
「……」<br />
<br />
<br />
「きゅ、弓道ってすごいよね！雰囲気が張り詰めてて、矢が的にあたるとか！」<br />
<br />
「なかなか難しいよ」<br />
「そうなんだ。じゃあ、当たった時は嬉しいね」<br />
<br />
<br />
「うん」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
毎日通る帰り道。<br />
ただの夕焼け。<br />
それが、なぜかいつもと違う気がした。<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>優</name>
        </author>
  </entry>
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    <published>2010-07-16T07:10:19+09:00</published> 
    <updated>2010-07-16T07:10:19+09:00</updated> 
    <category term="春の彩" label="春の彩" />
    <title>春の彩 ３</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
<br />
*‥*‥*<br />
<br />
<br />
<br />
「なぁなぁ、はるー」<br />
<br />
<br />
放課後。<br />
後ろからうるさいやつがついてきていた。<br />
<br />
<br />
「何」<br />
<br />
<br />
そっけなく答えると、そいつは俺の腕をぐいぐい引っ張った。<br />
痛い。<br />
<br />
<br />
「お前さ、お前さ、お前さ！楠木さんと仲良しなの？どうなんだよ！そこんとこはっきり頼むよ！」<br />
<br />
<br />
クスノキさん……？<br />
誰だろうか。<br />
まったく思いあたらない。<br />
だいたい、女子の名前なんて覚えているのは極わずかだ。<br />
<br />
<br />
「……誰？」<br />
<br />
<br />
そう尋ねると大祐は俺の両肩をがっしりとつかんでがくがく揺らした。<br />
痛い。<br />
<br />
<br />
「おまっっっ!!４限の前に話してたじゃん！はるの前の席の超可愛いい方です！」<br />
「あ－…あの子、楠木っていうのか。」<br />
<br />
<br />
可愛いか可愛くないかと聞かれれば間違いなく可愛い方。<br />
けれども、そこまで執着するほどの人なのだろうか。<br />
<br />
<br />
「好きなの？」<br />
<br />
<br />
あまりに力強く握られていた肩から手を振り払って大祐を見ると、みるみるうちに顔が赤くなっていった。<br />
面白い。<br />
<br />
<br />
「ち、ちが！……くない…」<br />
<br />
<br />
大祐は口元を手の甲で抑えて目をそらす。<br />
<br />
<br />
「………ふっ」<br />
「…な、笑うなよ」<br />
<br />
<br />
思わず笑ってしまった。<br />
大祐は嘘がつけないやつで、隠し事ができない。<br />
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そういえば、いつから好きだったのだろうか。<br />
全然気がつかなかった。<br />
それもそうか。<br />
俺は今日はじめて彼女の名前を知ったのだ。<br />
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「話したことある？」<br />
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大祐はこくんと頷く。<br />
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「メアドは？」<br />
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ふるふると首を振った。<br />
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「じゃあ聞けば？」<br />
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そう言うと大祐は怒った。<br />
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「そ、そう簡単に言うなよ！俺は…余裕なんて、ほんとになくて、まともに…顔みれないんだよ…」<br />
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最後の方になるにつれ大祐は小声になりながら、恥ずかしい事を言った。<br />
聞いているこっちが、恥ずかしい。<br />
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「ま、頑張ってみれば」<br />
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大祐を見るのは面白いが、面倒事に巻き込まれるのはごめんなので、俺はさっさとその場を退散した。<br />
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            <name>優</name>
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