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小説/ゆるいかんじ。
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今日もまた、同じ1日がやってくる。


*‥*‥*


午前七時三十八分。
ホームに電車がやってきた。
通勤や通学の時間だというのに、ほとんど人はいない。

ぶわっと強い風が吹き上がる。
目の前のそれが止まりかけた時、乱された髪の俺がいた。


「……。」


頭に手を伸ばし、少しだけ元に戻す。
俺は無造作ヘア派だから前髪だけ戻せば十分だ。

ガコンと音を立てて電車の扉があいた。
すると、知っている顔と目があった。


「はよ、はる」
「おはよ、だい」


昨日と変わることなく、そこには大祐がいた。
同じ車両に誰もいなかったので、今まで貸し切り状態を楽しんでいたようだ。
こいつがいない時は俺だけのものだったりもするが、たまに誰かが乗っている時もある。
ただ、たいていの朝はこいつがこの車両に1人で、いつも同じ場所に座っていた。


「なんだ?はる。髪やってきたのかよ?なんか変じゃね?前だけ不自然にまっすぐだ。」


こいつはよく喋る。
髪が変だといいたいなら、それだけ言えばいいものを。
俺は大祐からちょうどいい位置に座った。
長い椅子が軋む。


「さっき崩れた」


そう言うとやつは笑った。


「いやいや、直そうぜ?お前やんねぇなら俺が直してやろうか。」


大祐は言い終わる前に手を伸ばしてきた。


「無造作ヘア派だから」


そう言って伸びてきた手を避けるために体を少し傾けると、大祐はもっと笑った。





それから、ずっと駅に着くまで大祐トークが続いた。

昨日の部活がきつかったとか、ドラマで好きな女優が可愛かったとか、ゲームの3rdステージが意外とあっさり終わったとか。
とにかく絶えることなく話は続いた。


その間、俺はなんとなく話を聞いて、なんとなく頷いて、なんとなく窓の外を見たりしていた。
窓に写る景色は昨日と変わることなく穏やかで、気持ちよさそうな緑がなびいていて、夏とは違う青い空にふんわりと雲が浮かんでいた。






今日も変わることない1日が始まる。



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春の彩
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君はいつまでも空高く
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