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小説/ゆるいかんじ。
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*‥*‥*


京也がアホでよかった。
そう思ってため息をついた。
やっぱりあの時、断るべきだったのだろうか。

でも、理由もなしに?

いや、理由ならある。
だけど、それはこっちの話。
別に彼女が俺に気があるとは言ってない。
だから変に気を遣うのは気がひけるのだった。


「おはよっ」


声のする方をみるとクスノキさんが微笑んでいた。
俺は少しためらう。


「…はよ」
「今日は宿題やった?」

「あ-…うん」
「私もばっちりだよ。あ、そういえばさ」
「……ちょっと、ごめん」


そう言って俺は席を立った。
そして、教室の外に向かう。
すると、京也が近づいてきた。

「今の不自然」
「……」


そんなこと、わかっている。
だけど、今は話したくない。


「どうするつもり?」


京也は冷たく俺を見ていた。
聞かれていい話をする雰囲気ではないのは明らかだ。
俺は京也を連れて、教室から離れているロビーに向かった。



ロビーの隅に落ち着くと、京也はわざとらしく大きなため息をついた。


「中途半端はどっちにも可哀想だよ」
「……」


京也はにこりと笑う。


「好きなら別だけど?」
「……」

「ま、俺はとりあえず中途半端なお前に助言くらいはしてやるよ。」
「……」


俺が何も言わないのが不服なのか少し拗ねた顔をした。


「言っとくけど、お前じゃない二人のために!だからな?」


俺は思わず口元が緩んでしまった。
こいつなりの優しさが、少し嬉しい。


「な-に笑ってんだよっ」
「別に」


俺には彼女の気持ちはわからない。
けれど、大祐の『好き』ならよくわかっている。
だから出来るなら、変な関わりは持ちたくない。


「なぁ、京也」
「ん?」
「なんで、昨日一緒に帰ったんだろう」


そう言うと、京也は一瞬真顔になった後呆れた顔をした。


「何が言いたいのか…イマイチわかんねぇんだけど…?」

「大祐の気持ちはわかってる。」
「まぁ、わかりやすいしな」


京也は頷く。
俺は言葉を続けた。


「けどあの人は何を思ってるのかな、って」
「は?」


京也は目を丸くした。
そして、声をかなり抑えて俺の肩を引き寄せた。


「お前、アホじゃねぇの?」
「なんで」
「あの子は、お前に気があるから誘ったんだろ!?」
「…え…でも、そんなこと言われ」
「言うかバカっ!!」


京也は思い切り頭をはたいてきた。
割と痛い。
また、小声で京也は言う。


「女子が!勇気を出して!誘ってきて!好きじゃないわけないだろうがっ!」
「…そんなの、人それぞれじゃない?」
「それはねぇよ」
「……じゃあ、俺……まずくね?」
「まずいよ?」


俺らは目を合わせた。
そして苦笑いをしながらどちらともなく教室に戻った。
彼女はすでに席にいない。
少しほっとした。


「はる!」


後ろから不意に呼び止められた。
振り返ると大祐が俺に突進しようとしていた。
俺はそれをひらりとかわす。


「何」
「……あの」


壁にギリギリのところでぶつかるところだった大祐は、いつもとは違う様子で俺を見た。
少し、眉が歪んでいる。


「…どうした?」

「はるさ…」
「うん」

「何か、俺に隠してない?」





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春の彩
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